前のエントリ力学問題集に解答をつけた。
1
\(x = a\cos\omega t, y = a\cos\omega t, z = ut\)を図示すると下図のようになり、螺旋運動になる。
円筒座標はz軸からの距離\(\rho\)、xy平面においてx軸となす角\(\phi\),z座標\(z\)を用いて表されるので、 \[ \rho = a, \phi = \omega t, z = ut \]
球座標は原点からの距離\(r\)、x軸となす角\(\theta\)、z軸となす角\(\phi\)を用いて表されるので、 \[ r = \sqrt{a^2 + u^2 t^2}, \theta = \cos^{-1} \dfrac{ut}{r}, \phi = \omega t \]
2
平面上で等加速度運動する点は、\(x = r\cos\phi, y = r\sin\phi\)と表すと角速度\(\omega\)、 移動距離\(s\)は\(\phi = \omega t, s = r\phi = r \omega t\)より、 \[ x = \dfrac{s}{\omega t}\cos\omega t, y = \dfrac{s}{\omega t}\sin\omega t \]
3
1のxyz座標を時間微分すると\(v_x = -a\omega\sin\omega t, v_y = a\omega\cos\omega t, v_z = u\) よって \[ \begin{align} V &= &\sqrt{v_x^2 + v_y^2 + v_z^2}\\ &= &\sqrt{a^2 \omega^2 + u^2} \end{align}\]
4
\(V_\rho, V_\phi, V_z\)とはそれぞれの方向での速度を表すので\(V_\rho = \dot{r}, V_\phi = r\dot{\phi}, V_z = \dot{z}\)。 よって1で得られた円筒座標を時間微分して \[ V_\rho = 0, V_\phi = a\omega, V_z = u \]
参考: 球座標\((r, \theta, \phi)\)の場合、\(V_r = \dot{r}, V_\theta = r\dot{\theta}, V_\phi = r\sin\theta\dot{\phi}\)
5
加速度の垂直方向の大きさを求めると\(\textbf{A}_n = \frac{V}{R^2} \textbf{n}\)なので、\(A_x, A_y, A_z\)を求めると、\(A_x = -a\omega^2 cos\omega t, A_y = -a\omega^2 \sin\omega t, A_z = 0\)、また速さは変化しないので\(A_{//} = 0, A_n = A\)より\(A_n = a\omega^2\)
よって \[ R = \dfrac{V^2}{A_n} = \dfrac{a^2\omega^2 + u^2}{a\omega^2} > a \] から曲率中心が動点とz軸反対側にあり、螺旋運動することが分かる。
参考1:
自動車の速度表示は実際には速さをあらわしているので「速さ計」である。物理的な意味での速度計を考えてその針の先が描く曲線を「ホドグラフ」という。参考2:
加速度の垂直成分に関しては、
ある時点tの進行方向の単位ベクトルを\(\textbf{e}\)とおくと、\(\textbf{V} = V\textbf{e}\)より、\(\dot{\textbf{V}} = \dot{V}\textbf{e} + V\dot{\textbf{e}}\)。
さらに\(|\textbf{e} + d\textbf{e}|^2 = 1\)より\(\cos(d\textbf{e},\textbf{e}) = 0\)なので、\(\textbf{V}\)の垂直成分は\(V\dot{\textbf{e}}\) 。
ここで曲率半径をRとして、dt秒間に動いた距離をdsとおくと\(|d\textbf{e}| =\)曲率中心から見て変化した角\(\theta\)より、\(ds = V dt\)、\(ds = R\theta= R|d\textbf{e}|\)より導かれる。
6
慣性の法則
全ての物体は外力によってその状態を変えられない限り、その静止の状態あるいは一直線上の一様な運動の状態をそのまま続ける。--> そのように観測できる座標系 = 慣性系が存在する。
7
運動方程式
運動の変化は及ぼされる力に比例し、その力が及ぼされる直線の方向に行われる。
8
\[ \textbf{F} = m\textbf{A} \]
9
この問題を作ったことを後悔している。
10
作用反作用の法則
質点1が質点2に力\(\textbf{F}_{12}\)を及ぼしているとき、必ず同時に質点2は質点1に力を及ぼしている。その力を\(\textbf{F}_{21}\)とすると、
\[
\textbf{F}_{12} = -\textbf{F}_{21}
\]
11
運動方程式は \(m_1 \ddot{x}_1 = k(x_2 - x_1), m_2 \ddot{x}_2 = -k(x_2 - x_1)\)なのでこれを変形して、
\[ \ddot{x}_1-\ddot{x}_2 = -k\Biggl(\dfrac{1}{m_1}+\dfrac{1}{m_2}\Biggr)(x_1-x_2) \] \[ \ddot{x}_2 = -\dfrac{m_1}{m_2}\ddot{x}_1 \]
これを解いて、初期値は\(x_1=0, x_2 = l+C\)なので、 \[ x_1 = \dfrac{m_{2}C}{m_1+m_2}(1 - \cos \omega t) \] \[ x_2 = l + C - \dfrac{m_{1}C}{m_1+m_2}(1 - \cos \omega t) \] ただし \[ \omega = \sqrt{\dfrac{k}{m_1}+\dfrac{k}{m_2}} \]
12
運動量が保存するのは考えている系の外からの力積が無視できるとき。例えば物体の衝突で物体間に力が働く時間が短いと考えられる撃力の場合など。 \[ \begin{align} \dfrac{d}{dt}\displaystyle\sum_i\textbf{p}_i &= &\displaystyle\sum_i m_{i}\textbf{a}_i\\ &= &\displaystyle\sum_{i,j\in S}F_{ij} + \sum_{e\notin S}F_{ei}\\ &= &\sum_{e\notin S}F_{ei} \end{align}\]
ゆえに、系の外からの力が働かない時は右辺は常に0であり、系の外からの力がある場合でも撃力の時は時間が短いので無視できることから示せる。
定義
運動量: \(\textbf{p} = m\textbf{V}\)
力積: \(\displaystyle\int_{t_1}^{t_2} \textbf{F}dt\)
13
惑星に関する運動方程式は、中心力は恒星からのベクトル\(\textbf{r}\)に平行なので、\(m\textbf{a} = \textbf{r}f(\textbf{r})\)と表せるので、
\[\dot{\textbf{l}} = r\times m\textbf{a} = \textbf{r}\times \textbf{r}f(\textbf{r}) = 0\]
より面積速度\(\textbf{l}\)は保存する。
定義
角運動量: \(\textbf{l} = \textbf{r}\times\textbf{p}\)
モーメント: \(\textbf{N} = \textbf{r}\times\textbf{F}\)
14
粘性率がの流体中を半径\(r\)の球体が速度\(V\)で移動するとき、抵抗力は\(6\pi\)\(aV\)なので、 終端速度を\(V\)として、\(6\pi\)\(aV = mg\)より、\(V = 2a^{2} \rho_{0}g / 9\)
参考:
この関係は\(\rho aV/\)\(\simeq 1\)の時成立する。
15
\(\ddot{z}\)の実部、虚部に注目して\(\ddot{x}=x, \ddot{y}=y\)が示せる。\(\dfrac{d^{2}}{dt^{2}} A\cos(\omega t+ \phi) = -\omega^{2} A\cos(\omega t+ \phi)\)より示せた。
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運動方程式: \(m\ddot{x} = -kx -B\dot{x}\)を考える。\(k/m = \omega^{2}, B/m = 2\gamma\)とおいて、\(x = e^{pt}\)を代入してみると、\(p^{2}+2\gamma p+\omega^{2} = 0\)より、\(p = -\gamma \pm \sqrt{\gamma^{2}-\omega^{2}}\)。
- \(\gamma < \omega\)の場合は減衰振動
- \(\gamma > \omega\)の場合は過減衰
- \(\gamma = \omega\)の場合は臨界減衰
という。
- 減衰振動の場合
\(\sqrt{\gamma^{2}-\omega^{2}}=iC\)とおくと、 \[ \begin{align} x &= &Ae^{(-\gamma + iC)t} + Be^{(-\gamma - iC)t}\\ &= &e^{-\gamma t}(Ae^{iC}+B^{-iC}) \end{align} \] より\(x\)が実数なので\(A=\overline{B}\)なので、 \[ x = |A|e^{-\gamma t}\cos{(Ct+\phi)} \]
- 過減衰の場合
\[ x = C_{1}e^{-p_{1}t} + C_{2}e^{-p_{2}t} \]
- 臨界減衰の場合
特殊解が\(te^{pt}\)についても考えられて、\(\gamma = \omega\)を代入して運動方程式を整理すると、\( \biggl((p^{2}+2\gamma p+\gamma^{2})t + (2p+2\gamma)\biggr) e^{pt} = 0\)より、\(p = -\gamma\)。よって、 \[ x = (C+Dt)e^{-\gamma t} \]
ここでは過減衰の時、\(t=0\)のとき\(x = x_{0}, \dot{x} = 0\)なので、
\[
C_{1}+C_{2} = x_{0}, C_{1}p_{1} + C_{2}p_{2} =0
\]
が得られる。
これを代入して\(\dot{x} = 0\)を求めると、
\[
\dfrac{p_{1}p_{2}}{p_{1}-p_{2}} x_{0}(e^{p_{1}t}-e^{p_{2}t}) = 0
\]
より、\(t = 0\)のみ。
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臨界減衰の式は\(x = (C+Dt)e^{-\gamma t}\)より、代入して解くと、 \[ x = x_{0}(1+\gamma_{0})e^{-\gamma t} \]
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TODO